
ダイエットをはじめとした健康的な食事では食物繊維をたくさん摂ったほうがいい、というのはよく聞くと思います。では食物繊維をとると具体的に何が良いのでしょうか。ここでは食物繊維の正体と効果についてご紹介します。食物繊維のことをもっと知れば積極的に摂りたくなるはず。ぜひ参考にしてください。
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食物繊維とは
食物繊維は栄養にはならない
食物繊維とは、食品の中に含まれている成分のうち人の体内の消化酵素で分解することができない物質です。
消化酵素とは、その名の通り小腸の中で食べ物の消化に使われる酵素のことです。
酵素には以下の3つがあります。
- 炭水化物分解酵素
- タンパク質分解酵素
- 脂肪分解酵素
食べ物に含まれる炭水化物やタンパク質、脂肪はこれらの酵素の影響を受けて分解され、小腸から栄養として体の中に吸収されていきます。
しかし、食物繊維はこれらの消化酵素に分解・吸収されることなく、そのまま大腸にまで届きます。食物繊維の多くは単糖(これ以上加水分解されない糖類)がたくさん結合した多糖類の仲間ですが、体内に吸収されないため体のエネルギー源にはなりません。
そのため、体には役に立たないものと言われていたこともありましたが、後述するように食物繊維にはさまざまな効能があり、体へよい影響を及ぼす「第6の栄養素」として今では広く認識されています。
2種類の食物繊維
水に溶ける水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水にと溶けるとゼリー状になり、水分を保持します。これによって小腸での他の栄養素が吸収される速度を緩やかにして、食後に血糖値が急に上がるのを防ぐことにつながっています。
また、脂質の一つであるコレステロールなどを吸着して体の外に食物繊維と一緒に便として排出することで、血液の中のコレステロールが増えるのを防ぎます。ナトリウムを体外に出す効果もあるため、高血圧を予防する効果もあるといわれています。
水に溶けない不溶性食物繊維
水に溶けない不溶性食物繊維は、植物性の食品に多く含まれています。水溶性食物繊維と異なり、パサパサ・ざらざらとした食感などを持っている食べ物が多いです。
不溶性食物繊維は、胃や腸のなかで水分をたくさん吸収します。それにより便の体積が増えて、大腸の刺激になり、排便が促されることになります。さらに便に有害物質をぴったりと吸着させて、便と一緒に体外へ出すため、大腸がんなどのリスクを減らすともいわれています。また水溶性食物繊維と同じく、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える特徴もあります。
食物繊維の効果
腸内環境を整え便秘解消
とくに不溶性食物繊維は、水に溶けずに胃や腸で水分を吸収して膨らみ便の容量を増やします。膨らんだ便は腸を刺激して腸の動きを活発にし、排便を助けます。
また、食物繊維は大腸内にある細菌によって発酵・分解されたあと善玉菌のえさになります。それによって、腸内で善玉菌が増えて腸内フローラが改善されます。
食後の血糖値上昇をゆるやかに
食事を摂ると血糖値が上がりますが、食物繊維は血糖値の上昇を抑えてくれます。とくに水に溶けるとねばねばした性状になる水溶性食物繊維は、その性質から食べ物が胃から小腸への移動するのをゆっくりにさせます。
そして小腸で糖質などが分解吸収されるを穏やかにして、食後の血糖値が急に上がるのをおさえています。
血糖値の急上昇はカロリーを体内に溜め込みやすくなったり、糖尿病の原因になりますので、血糖値のコントロールはダイエットにも健康維持にも重要です。
血液中のコレステロールの濃度を抑える
食物繊維を摂ると、血中のコレステロールの濃度を低くさせることができます。
小腸でコレステロールを吸着して体の中に吸収されるのを防ぎ、そのまま体の外に排出できるよう促します。
食べ過ぎや肥満を抑える
食物繊維は腹持ちがよく、食事を多く摂取することを防ぎます。また不溶性食物繊維は飲み込む前によく噛むことが必要となり、これも食事量がオーバーすることを防ぎます。これらによって食べ過ぎや体重増加をおさえてくれるのです。
食物繊維自体には栄養成分がないものの、便通を整えたり、栄養成分の吸収を緩やかにするなどして、糖尿病や虚血性心疾患などの生活習慣病に対して予防効果が期待できるといわれています。
食物繊維を日々の食事に取り入れよう
1日の摂取量の目安
一日に摂取するべき食物繊維の量は、男性は20g以上(70歳以上は19g以上)、女性は16g以上となっています。
平成28年度の国民健康・栄養調査で出た値をもとにして、以下のように1日の食物繊維の摂取量の目標値が計算されています。
年齢 | 男性(g/日) | 女性(g/日) |
18~29歳 | 20.39 | 16.92 |
30~39歳 | 21.24 | 17.60 |
50~64歳 | 21.21 | 17.79 |
65~74歳 | 20.51 | 17.37 |
75歳以上 | 19.22 | 16.54 |
食物繊維が多く含まれる食材
食物繊維は主に以下のような食べ物に多く含まれています。
- 穀類
- 野菜類
- 豆類
- きのこ類
- いも及びでん粉類
- 果物類
- 種実類
- 海藻類
特に食物繊維が多いのは以下の食材(食物繊維含有量)なので、日々の食事に取り入れてみてください。
- アボカド1個 12.2g
- ごぼう1本 10.0g
- ほうれん草1束 7.0g
- りんご1個 4.5g
- 干し柿1個 4.2g
- ライ麦パン1個 4.0g
- にんじん1本 3.5g
- 干しいちじく1個 3.3g
- なめこ1パック 3.3g
- しめじ1パック 3.3g
- 茹で栗4個 3.3g
- ひきわり納豆1パック 3.0g
“ダイエットに必須!体内を整えてくれる食物繊維のチカラ” への5件のフィードバック